穴あきジーンズがカクテルドレスになるまで・・・

「高木社長！ありがとう！ほんとうにありがとう！」

吉野部長は心を込めて叫んだ。


「吉野・・・お前変わったな。」

高木は感じたことをそのまま伝えた。


　（部下のために頭を下げる・・・

　　俺にはできるだろうか・・）

そう感じてもいた。



「変わったんじゃなく、気がついたんだよ。高木。」

二人はもう以前の二人に戻っていた。


「さぁ、みなさんソファーに腰掛けてくれ、契約書を書こう。

ちょうどうちは３台必要なんだ。３台分よろしく頼む。」


高木はそういった。


３つ分の契約が取れた！

全員で土下座しながらもう一度お礼を言った。



契約を済まし、部長率いるＡチームは

清々しい面持ちで社長室を後にした。

全員が満面の笑みである。


みんなが立ち去る時、高木社長は全員と握手をした。

そして、会社からでて、その４人がタクシーに乗り込む姿も

社長室の窓から眺めていた。


　（あいつはすごいな。俺はあいつを超えたと思っていたが

　　まだまだあいつの方が上だったな。

　　「部長」としてあいつは立派だった・・・・）


　高木は社長として、自分の役割をちゃんと果たせているのか
　　
　自分を省みた。

　がむしゃらに働いていた時期とは違って、もう今では会社は安定期だ。

　（マンネリ化していないだろうか・・・）
　
　（俺はワンマンではないだろうか・・・）

　（部下の様子を見てあげれているだろうか・・）

　（吉野のように部下のために頭を下げることができるだろうか・・・）

　（妻は不満はないだろうか・・・）

　（子供はさびしくしていないだろうか・・・）


　色んなことを考えてみた。
　
　（吉野のおかげで色んなことを考えさせられたな・・・）


　高木は明日、緊急にミーティングをすることにした。

　（よし、直接みんなに聴こう）


　高木は色んなことを学んだ気がした、

　そして、これからの自分の会社に必要なものを気付かせてくれた気がした。