普通の女性が資産家になるまでのストーリー それは非常識な成功法則

2007年07月29日

静かな時・・・

『うらら、ここを左よ!!』

といいながら 指は思いっきり右を指している


 ( く~・・・相変わらず わじわじ~するなーもー・・・)

『右だろ 右!ほんと 右と左早く覚えてよね!!イライラする!!』


『うふふ ごめんごめん』


マミーは右と左がわからない



マミーのイライラする道案内

で運転すること約1時間

北部の山奥に到着


とりあえず到着できたので

一安心だ


(こんなとこに 人が住んでるのかぁ~・・・)

車を停めて

それから しばらく坂道を登った


右も左も木が茂っている

おくの方に家が見えてきた

戸がしまっていたので

中のようすは 見れない


近づいてみると

さっきは見えなかったが

左側にもギャラリーらしき建物があることがわかった


ギャラリーの方に先生はいる気配

電気がついていたので

正面にあった家ではなく

私とマミーは左側のギャラリーの建物に向かった


とても静かな場所だった

(へ~・・・こんな静かなところに住みながら

 焼き物をしているんだぁ・・・)


『こんにちは~』とマミーが

ギャラリーの戸をガラガラっと空けた

先にマミーが入った

中から

男の人のやさしい声がしてきた

『おぉ 前里さん 早速きてくれたんですね』

と 私が中に入った瞬間

目にとまった 先生のコーヒーカップ・・・

カップにプリントされていたのは

「ルパン三世」



(・・・おいおいおい・・・自分が焼いたカップで飲めよ・・・。)

思わず突っ込みを入れたくなったが

初対面なので

我慢した


(私の家にもある・・南風原石油からもらったサービス品・・・)


ゆっくりと もう一口コーヒーを飲んだとき

先生は私の存在に気がついた


『おぉ こんにちは 娘さん?』

『えぇ、次女のうららです。今日は連れてきました』


『はじめまして』 と私

頭はルパン三世のことでいっぱいだったので

顔はにやけてしまったまま 挨拶をした


こだわりのない職人

好きになれそうだった


『はじめまして うららさん 君は学校の先生だったようだね

 美人先生だったんだねぇ・・・さぁ 座って 座って コーヒーだすからね』


『・・はい ありがとうございます』

美人っていわれたことより

私はどんなカップでコーヒーを飲まされるのか気になった


私がキョロキョロ部屋を見回しているうちに

コーヒーが到着した



予想に反して

私とマミーのカップは

ルパンではなく

先生の作品だった

(うわ~・・・素敵・・・

 陶芸のことはわからないけれど なんか好きだなぁ・・)


私は陶芸のことには疎い

けれど なんか優しいぬくもりは伝わってきた

先生の人柄のせいなのか

北部の空気のせいなのか・・・


とにかくすべてが良かった。


コーヒーは日ごろ飲まないけれど

特別な味がする気がした

香りもいい・・・


(ふ~・・・・)

さぞかし 高級なコーヒーなんだろうと

ふと 奥のテーブルをみると


置かれていたのは

キリマンジャロと

モカ

のインスタントコーヒー・・・


(・・・あ・・これインスタントなんだ・・・)


『好きなのどんどんおかわりしなさいね』

と先生

インスタントなのに

かっこよく勧める先生・・・

ナイスGOOD



先生の近くに座っているだけで

私は癒されていた

ほんとに不思議な方だった

芸術家ってあんなに穏やかなのだろうか・・・


マミーがいうには

いろんなところから

働きすぎて疲れ果てた人が

ここにきて

ただただ先生に話をきいてもらって

すっきりして帰るんだよ

ということだった

先生はただただ うんうん

とうなずいているだけ


その日も先生は

うんうんと

マミーの話を聞いてくれていた

私も側で

うんうんとうなずきながら

マミーのおしゃべりにつきあった


自然と心はイライラしなくなっていた


30分ほどたっても

マミーのおしゃべりは続いたので

先生は私に

『もうひとつ 奥の部屋に作品が並んでいるからみてきなさい

 新しく焼きあがったばかりのもあるからね あそこのドアから入ってね』


と 私の座っていたところの後ろを指差した

私は振り向きながら確認して

『あ・・はい みてきます』


と マミーを残して奥のほうへ向かった

『うらら 下手に触って 割らないようにね!!』と

大声で言った

『はいはい・・・』


(うるさいな~・・・)


と思ったとき小さい声で

先生はマミーに言っていた

『いいんですよ 割れたって。

 形あるものは壊れます

 また焼けばいいんですから』


と・・・

さらっと言ってのけた先生・・・

さらに好きになってしまった


奥の部屋に入った瞬間

私の目に飛び込んできた作品たち

その作品たちはほとんどが 『素焼き』で

茶色やこげ茶色で

土の色がきれいに出ていて

色付けされているものはほとんどなかった


(うわ~・・・こんなのはじめて見た~・・・)

なんかギャラリーを独り占めしている気がして

最高の気分だった


私は怖くて作品を触ることが出来なかった

一つ一つが

先生の温かい思いのこもった

宝物、子供たち、作品たち


初めて味わった感動だった

さらに さらにおくに進んでいくと

大きな皿

大きな壺

大作たちが並んでいた


(うわ~!!でかー!)


特に批評論評はできませんが

なんかすごいってのは伝わってきました


(ん~・・・さすが県知事賞!! グッジョブGOOD


そこで マミーの声がした

『うらら~ 作品素晴らしいでしょ~!? 気に入ったのある??』

この部屋に向かって歩いてくるのが

わかった

もう少しこの空間を独り占めしたかったけれど

しょうがない



『素敵だね~ 全部いいよね』

『ひとつ買ってあげるから選びなさい』

『え!?いいの?』


私自身自分がそんなに陶芸に興味があったのかと

とても驚くほど嬉しかった

・・・ん~・・・

『マミー、私がさっきコーヒーを飲んだカップがいいな

 あれも譲ってくれるかなぁ・・?』


私はすでにコーヒーカップを気に入ってしまっていた

手にフィットする感覚

なんか温かかったから・・


先生からも了解が得られ

そのカップを譲ってもらうことが出来た

(やった~ラブ


マミーは先生と話したりない様子だったけれど

帰りが遅くなると行けないので

それに先生の体をいたわって

私たちは1時間もいないうちに

帰ることにした


帰る前に先生は裏の山を見てこようと

私を誘った


外はもう

薄暗くなってきていた


裏の山も先生のものだった

山に行く途中

作品を焼く釜があった

おっきい釜とちっちゃい釜

ちっちゃい釜の方ではたまに

パンやピザを焼くそうだ


先生のゆっくりとした説明を聞きながら

少し散歩した

マミーは新作がもっと見たいとギャラリーに戻ってしまった

(・・あらあら マミー今日もたくさん買っちゃうんじゃないの~??)


でもまあ いい

大城先生の作品なんだから


いつもたくさん壺とか皿とか買ってくる意味がわかった

先生の作品でご飯食べるとき

これからは違う味がしそうな気がした


私と先生はゆっくりと散歩した


ちょっと立ち止まって木を見上げた

下から見上げる木々は私を包み込んでくれているようで

気持ちが良かった

私はしたから見上げる木が大好きだった

このアングルが一番落ち着く


『高校教師 辞めたそうだね』

『・・・はい』

『そう・・』

『・・・・・・』

『まぁ やりたいことをして やりたくないことはしなければいいさ 』

『・・・・・はい』

『・・見てごらん この森には道がなかったんだよ

 こうして石を運んで 少しずつ少しずつ 僕がこうして道を

 作ったんだよ』


大城先生は話をそらしてくれたのかもしれない

もう 高校教師を辞めたことの理由とか

色んなこととか聞いてこなかった


優しさだけが

私を包んだ

先生と森と北部の空気と・・・


森は

先生みたいだった


先生が森のようだった



あのコーヒーカップは

今でも私の宝物

何を飲んでも最高級の味がする




『うらら~ 帰るわよー!! 先生ありがとう!!またきますねー!!』

マミーの叫び声に 先生はギャラリーに足早に向かっていった

『おう はいはい また着てよー おぉまたこんなに買ってくのかい?』

歩きながら先生は

マミーがお皿をたくさん抱えているのを見て、

足元にも壺があるのを見つけてびっくりしていた


(あちゃ~ またたくさん買うのか・・・まぁ先生の作品なら

 いっか)


私は少し森の空気に浸っていた

自然の中にちょっといるだけで

こんなにも癒されるものかと

28年間生きてきてはじめて感じたことだった


私って今まで何を感じて生きてきたんだろう・・・

マミーと先生がおしゃべりを遠くで聞きながら

私は下から木々たちを見上げていた


そして 少しの間目を閉じた・・・

ひとつ・・・

ふたつ・・

みっつ・・


ゆっくりと深呼吸・・・





『うらら~!帰るわよー!』と


マミーの声



『はーい♪』



私が車に軽やかに走っていくのを

木々たちはそっと見つめてくれていた

















Posted by アンジェラ★777 at 19:24 │ミュー